マレーシアの大学は留学先としてあまり一般的ではないため、イメージがしづらい人もいるのではないでしょうか?
マレーシアは世界的な評価が高いイギリス系の教育システムを採用しており、大学では欧米方式の双方向型の質が高い教育を提供しています。
そしてマレーシアの大学に進学することは、欧米諸国への留学では享受することができない多数のメリットもあります。
この記事ではマレーシアの大学への進学におけるメリットのほか、デメリットと捉えられがちな点への対処方法も紹介します。
マレーシアの大学への進学に興味があるけれどもよくわからない人や、留学先の国を探している人はぜひ読み進めてください。
この記事でわかること
マレーシアの大学に進学するメリットとデメリットへの対処方法
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海外留学先の国を探している人
マレーシアの大学への進学に興味がある人
マレーシアの大学に進学する予定の人
マレーシアの大学に進学・留学するメリット
マレーシアの大学への留学は、デメリットよりもメリットの方が圧倒的に多いです。
とてもたくさんのメリットがあるので、順番に紹介していきます。
学費が安い
マレーシアの大学に進学するメリットとしてまず挙げたいのは、学費の安さです。
イギリスやアメリカなど欧米諸国の大学では、年間500万円程度の学費がかかることが普通ですが、マレーシアの場合、年間70万円、3年間の「学費を合計しても200万円」程度で学位を取得することができます。
以下はマレーシア、イギリス、アメリカでほぼ同様のレベル(QS世界ランキングで60〜70位)の大学で卒業までにかかる学費の合計になるのですが、文字通り桁が違います。
欧米の大学とマレーシアの大学の学費の例
マラヤ大学(馬) | 220万円 |
---|---|
ウォーリック大学(英) | 1,200万円 |
ブラウン大学(米) | 3,500万円 |
*1MYR=30円・1GBP=170円・1USD=135円で計算
また、マレーシアにはイギリスやオーストラリアの学位が取れる「欧米の大学の分校」や「プログラム」もあるのですが、そういった学費が高めの私立大学を選んだとしても3年間にかかる学費の合計は400万円程度です。
海外大学の本校とマレーシア分校の学費の違い
大学名 | マレーシア校 | 海外本校 |
---|---|---|
モナシュ大学 マレーシア | 4,410,000円 (147,000MYR) | 12,609,000円 (140,100AUD) |
サザンプトン大学 マレーシア校 | 4,270,500円 (142,350MYR) | 12,750,000円 (75,000GBP) |
ノッティンガム大学 マレーシアキャンパス | 4,410,000円 (147,000MYR) | 13,515,000円 (79,500GBP) |
ヘリオットワット大学 マレーシア | 4,186,800円 (139,560MYR) | 11,354,640円 (66,792GBP) |
スウィンバーン工科大学 サラワク | 3,014,640円 (100,488MYR) | 9,493,200円 (105,480AUD) |
*コンピューターサイエンス系学部の学費
*1MYR=30円・1GBP=170円・1AUD=90円で計算
ほかにも、3年間の学費が100万円程度の国公立大学もあるなど、マレーシアは日本の大学と比べても圧倒的に学費が安いです。
生活費が安い
マレーシアは日本と比べると物価が安いため、月々4万円〜7万円もあれば十分に生活ができます。
外食文化の国であるため一食200円〜300円もあればお腹いっぱい食べられることや、交通費も日本の5分の1〜10分の1程度、通信費も1ヶ月1000円程度でデータ量無制限のプランが使えるなど、普段の生活で必要になる費用が少ないです。
また、
3年で卒業できる
マレーシアは、イギリス系の教育システムとなっているため基本的に3年で大学を卒業することができます。
また、イギリス系の大学の場合、修士課程(大学院)もほとんどの場合1年で終了します。
医学部など、学部やコースのカリキュラムによって多少期間が変わることもありますが、日本の大学を卒業するまでにかかる期間で、学士だけはなく修士の学位まで取得することができるということになります。
入学しやすい
マレーシアの大学受験は、基本的に高校の成績+英語力(留学生の場合)で選考が行われるため、いわゆる受験勉強といったものが必要ありません。
日本でいうところの総合型選抜のようなイメージになるのですが、日本の高校のいわゆる偏差値による序列のようなものは織り込まれず、通っている高校で良い成績を取れば良いということになります。
欧米の大学の学位が取得できるコースがある
マレーシアはかつて大学の数が不足していた時代からの流れで、欧米の大学の分校や欧米圏の大学のカリキュラムを取り入れているコースが多数あります。
そして、海外大学の分校はもちろん、「ツイニング」・「ADP」といったイギリスやオーストラリア、アメリカなどの大学と提携しているコースを終了した際には、マレーシアにいながら海外の大学の学位を得ることができます。
二つの学位が取得できる「ダブルディグリー」や、複数の大学から学位の証書が与えられる「デュアルディグリー」コースがある
マレーシアにある海外の大学の分校や、海外の大学と提携しているコースの中にはマレーシアと海外の大学の両方から学位の証書(学位記)が与えられる「デュアルディグリー」コースや、複数の学位を取得できる「ダブルディグリー」コースがあります。
特にダブルディグリーコースの場合は、二つの学位を別々に取得するよりも短期間でコースを終了することができるので費用や期間のメリットが大きくなります。
学部や大学の変更ができる
日本の大学の場合、大学に入学した後に別の大学に編入することは稀ですが、マレーシアの場合、学部変更や転学を2回まで行うことが許されています。
参考:Academic Variation / Changing Your Course(Education Malaysia Global Service)
そのため、学内で別のコースに変更したい場合や、通っている大学とは別の大学に転学したいといった場合に、取得した単位を無駄にせずに学習を継続することができます。
編入先のコースに空きがあることや、学生ビザの切り替えなどが必要になりますが「合わない」と感じているまま過ごさなくて良いのは大きなメリットになります。
交換留学を利用すると「マレーシアの大学への学費」のまま欧米の大学で学べる
マレーシアの大学で提供されている交換留学プログラムを利用すると、イギリスやアメリカなど、欧米の大学で交換留学生として学ぶことができます。
留学期間は1学期間〜1年間程度で、目的や予算にあわせて期間や行き先を決めることができます。
そして、交換留学の大きなメリットは「学費はマレーシアの大学に払えば良い」という点です。
どういうことかというと、
学内の留学用奨学金プログラムなども利用できれば、かなりお得な方法になります。
ちなみにテイラーズ大学の場合、200校以上の大学から選ぶことができるなど留学先の選択肢が豊富です。
なお、提携先は大学によって異なるので、交換留学を狙う場合は事前に調べておくと良いでしょう。
入学時期が柔軟
マレーシアの大学は、1年間に何度も入学時期が設けられていることがほとんどで、大学や学部によっては年に3〜4回の入学時期が設けられていることもあります。
そのため、自分の都合に合わせて入学のタイミングを選ぶことができます。
以下はUCSI大学の入学時期の例ですが、特に指定がない学部については、1年のうちに3回入学時期があります。
そのため、9月入学が一般的で高校卒業後半年近く待つ必要があるアメリカやイギリスなどの大学への進学と異なり、高校卒業をしてすぐに大学に入学することもできるというメリットがあります。
ビザ取得時に現地の医療保険に加入できる
日本で医療機関にかかる場合は健康保険を利用することができますが、日本国外に住む場合は現地で使える医療保険を手配する必要があります。
そのため留学をする場合、日本で海外留学保険加入することが一般的ですが、年間20万円、3年間だと60万円以上かかります。
マレーシアに留学する場合、ビザ取得時に現地の医療保険に加入することになるため年間の保険料は500リンギット(16,000円)程度〜、高いものでも1,000リンギット以下(35,000円程度)です。
基本的に入院治療が中心の保険にはなりますが、なるべく費用を抑えて留学したい人にとっては最低限の医療が年間2万円以下でカバーできるというのは大きなメリットになります。
参考:マレーシア現地の医療保険は日本で加入するよりも安く、AIAやPrudentialなどには外国人も加入できるものがあります。(現地保険はRinggitPlusなどで検索できます)また、クレジットカードには損害賠償なども含む海外旅行保険が付帯しているものもあります。できるだけ費用を抑えて補償を充実させたい人はぜひご活用ください。
卒業後に就業も可能なビザが取得できる
マレーシアの大学を卒業すると、更に1年間滞在することができるSocial Visit Pass(Graduate Pass)が取得できます。
国が定める分野におけるパートタイムでの就業という条件はありますが、配偶者や子供といった本人の家族も取得できます。
マレーシアに限らず、新卒者に対してビザのスポンサーになる雇用主はかなり稀ですが、Graduate Passを取得すれば、卒業後、成長著しいマレーシアにおける就業のチャンスが広がります。
詳細や申請に必要な書類などついてはこちらから確認できるので興味がある人は参考にしてください。
世界的に見て安全な国である
マレーシアの安全度は、経済平和研究所のグローバルピースインデックス(GPI)で世界10位となっており、「安全な国」という評価を得ています。
このランキングは、政情の安定や軍事、紛争、犯罪発生率など様々な項目を総合的に評価するものなのですが、普段の生活に深い影響があるSocietal Safety and Security domain(社会的な安全性)を見ても、マレーシアは多くの日本人が留学するアメリカよりもはるかに安全な国とされています。
日本や北欧の国々と比べると劣りますが、台湾とフランスの中間程度に位置付けられており、普通に生活をしていれば危険なことに巻き込まれる確率は低いでしょう。
ただでさえ勝手のわからない国で生活することになるので、安全な国であるかどうかということはとても大切です。
この点においてマレーシアは、申し分がありません。
日本人が生活しやすい
マレーシアは物価水準が低いことや安全な国であるだけでなく、イオンやダイソー、伊勢丹、ユニクロなどの日本企業が多数進出しています。
そのため、外国であるにもかかわらず日本の食材なども比較的安く手に入りやすいです。
実は、国によっては日本のものを手に入れるのはとても大変で、かなり割高であることが多いです。
実際に海外に住み始めると実感するのですが、日本食など日本のものを気軽に手に入れることができるというのは、とてもありがたいものです。
マレーシアの場合は、外国ではあるけれどもそれほどアウェイ感を感じずに過ごすことができます。
日本との時差が少ない
マレーシアは時差が1時間しかないため日本にいる家族や友人とリアルタイムで連絡を取ることができます。
実際に留学生活が始まると感じることですが、日本との時差が少ないというのはメリットが大きいです。
特に母国語が通じない異文化の環境に慣れるまでの期間は、日常的に日本の家族や友人と連絡を取り合うことができるのは精神的に大きな支えとなります。
あまり語られないことですが、留学先に適応できず帰国してしまう学生も一定数存在します。
マレーシアは、8〜9時間の時差があるイギリスや13時間〜17時間の時差があるアメリカへの留学と比べると、とても恵まれた留学先ということになります。
多様な文化を経験できる
日本の場合、お正月、お盆、七五三、成人式など日本に伝わる文化や行事の中で生活しています。
ヨーロッパなどの欧米諸国の場合は洗礼やイースター、クリスマスなどいわゆるキリスト教系の文化や行事が広く根付いています。
マレーシアの場合は、マレー系はハリラヤ、中華系は旧正月、インド系はディーパバリなど、民族ごとの文化が共生した社会となっています。
このように多様な文化がポジティブなハーモニーを奏でている国で生活できるのはマレーシアだからこそできる経験になり、より広い視野を持てるようになるでしょう。
周辺国へのアクセスが良い
アメリカやカナダなどの国土が広大な国を留学先に選んだ場合、週末などを利用して留学先の国以外を訪れるといったことは難しいです。
一方、マレーシアは地理的にシンガポールやインドネシア、タイなど周辺国へのアクセスが良く週末を利用して気軽に遊びに行くことができます。
これはヨーロッパ圏の留学にも言えることですが、留学中に留学先以外の国の文化も経験できるということはよりグローバルな視野を身につけることにつながります。
欧米大学への留学と比べると航空券代が半分以下
航空券を横断的に比較検索するスカイスキャナーによると、日本からマレーシアまでの往復航空券の年間平均価格は6万円程度です。
マレーシア行き往復航空券の相場
一方、アメリカ行き航空券の場合の年間平均価格は11万円、イギリスは14万円となっています。
アメリカ行き往復航空券の相場
イギリス行き往復航空券の相場
留学期間中一度も里帰りしないのであればそこまで大きな違いはありませんが、
往復のみ | 里帰り 1回/年 | 里帰り 2回/年 | |
---|---|---|---|
マレーシア | 6万 | 24万 | 42万 |
アメリカ | 11万 | 55万 | 99万 |
英国 | 14万 | 56万 | 98万 |
英国 *1 | 14万 | 71万 | 126万 |
*1ファウンデーションコース経由で大学に進学する場合
また、ヨーロッパや北米への留学は、長距離フライトと時差ぼけで肉体的な負担も大きいですが、マレーシアの場合はそういったデメリットもありません。
デメリット
国公立大学は留学生に対するサポートが乏しい
世界大学ランキングなどで上位になっているマレーシア国内の大学は、圧倒的に国公立大学が中心になります。
国公立大学は学費が安い傾向にあり大学の評価も高いためメリットが多いように見えるのですが、あくまでも「マレーシア人」のための教育を行っています。
そのため留学生も受け入れてはいるのですがサポートが手薄で、また、寮の設備や水回りなどにおいてやや文化の違いを感じる事もあります。
また、マレー系の学生が多いため、グループラインのようなもの(WhatsAppが一般的です)がマレー語で会話されていたりすることもあるなど、マレー語ができないと不便に感じる場面もあります。
マレー語を覚えてマレーシアの文化にどっぷり浸かりたい学生には天国ですが、そうではない場合は留学生が多い私立大学中心に検討をすると良いでしょう。
英語の訛り
マレーシアは多民族国家ということもあり英語が共通語として使われており、都市部では英語ができれば困ることはほとんどありません。
ただ「マレーシア英語」の会話は、独特の言い回しや訛りがあり、ネイティブが話す標準的な「英語」に慣れている場合は違和感を感じることがあります。
こう言ってしまうと「マレーシア英語」に否定的な印象を持ってしまうかもしれないのですが、難解な単語が使われず、文法や発音が単純化されているマレーシア英語は、逆に初心者には会得しやすいです。
もしマレーシア人の英語が聞き取れるか不安に感じる人は、DMM英会話などを利用してマレーシア人講師と会話をしてみるのもおすすめです。
また、
もしマレーシアで留学中に英語に関して物足りなさを感じるようであれば、マレーシアの大学卒業後にイギリスやアメリカの大学院への進学を検討してみても良いでしょう。
マレーシアの大学は3年で卒業だから、イギリス系の大学の修士課程に1年間行ったとしても、4年で卒業できるよ
英語の素養が高い状態で英語ネイティブの国に渡ることになるので、短期間でより多くの言い回しや、いわゆるネイティブの発音を身につけることができるでしょう。
特にイギリスやオーストラリアのようなイギリス系の大学の修士課程は1年で終えることができ、学部課程よりも奨学金も獲得しやすいのでおすすめです。
国家資格が必要な職業に就きたい場合
マレーシアに限らず海外留学全般に言えることですが、大学卒業後に日本の国家資格が必要な職業に就きたい場合は、海外の大学で大学取った学位がどのような扱いになるかを事前に確認しておく必要があります。
例えば海外大学の医学部を卒業後、日本で医師になりたい場合、国家試験予備試験の受験が必要になります。
そして、国家試験予備試験の受験資格を得るためには、WHOのWorld Directory of Medical Schoolに報告されている大学を卒業している必要があるなどの認定基準があります。
参考:医師国家試験受験資格認定について(厚生労働省)
また、国によって法律が違う弁護士など法曹関係の仕事に就きたい場合も、日本国内と海外どちらでキャリアを積みたいのかを明確にしておく必要がありますね。
ヘイズ
マレーシアでは乾季になると「ヘイズ」という大気汚染が発生することがあります。
「ヘイズ」は、インドネシアやカリマンタン半島などで行われている「焼畑」や「Hotspot」と呼ばれる森林火災により汚染された大気がマレーシア上空に到達することによって引き起こされる大気汚染です。
年によって汚染度は違うのですが、ヘイズがひどくなると太陽も霞んで見えなくなり、辺り一面焦げたような匂いが漂います。
当然、健康上大変良くないということで、ヘイズがひどい場合は学校も休校になります。
ASMCではヘイズ情報を公開しており、APIMSでもヘイズ時のアドバイスを提供していますが問題なのは大気汚染なので逃げようがないことです。
ヘイズはマレーシアの大学進学におけるデメリットというよりは、マレーシアに住むことにより被るデメリットになるのですが、呼吸器系が弱い人はマスクや空気清浄機などを準備しておくことをおすすめします。
\PM2.5も99%捕集・日本製!/
まとめ
マレーシアの大学に進学する場合のメリットとデメリットへの対処法を解説しました。
マレーシアへの大学進学は、多くの人が興味を持つきっかけとなる学費面以外でも、欧米諸国のへの留学にはないメリットがとてもたくさんあります。
日本からの距離が近く、安全で、欧米の大学と同様のコースで安く学べるマレーシアの大学は、知名度や英語の訛りなどの理由から留学先の選択肢から外してしまうのはもったいとしか言いようがありません。
留学エージェントなども利用してぜひマレーシアの大学についてさらに多くの情報を集めてみてください。
なお留学エージェントは相性もあるので、いくつか相談して自分に合っていそうなところを選ぶことをおすすめします。
以下はカウンセリングが無料のエージェントになるのでよろしければお役立てください。
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