この記事ではMOOCの詳細と世界各国のMOOC20選の特徴を、利用目的別のおすすめとあわせて解説しています。
MOOCとは世界中の大学や企業、機関から提供されている講座をインターネットを通じて無償で学べるプラットフォームの総称です。
MOOCには大規模なものだけでなく、ニッチな内容や特定の学習者を対象としたもの、国や言語に紐づいたローカルなMOOCなどさまざまなタイプがあります。
この記事ではMOOCの詳細と世界各国のMOOCの特徴を、利用目的別おすすめのMOOCとあわせて解説します。
この記事でわかること
MOOCとは?
世界各国のMOOC一覧とそれぞれのMOOCの特徴
利用目的別のおすすめMOOC
この記事がおすすめの人
海外の大学の学位が欲しい人
無料で使える語学教材を探している人
海外大学への留学準備をしたい人
日本国外の講座で知見を広げたい人
MOOCとは?
MOOCとは世界中の大学や企業、機関から提供されている講座をインターネットを通じて無償で学べるプラットフォームの総称です。
講座は大学などの教育機関や企業などのさまざまな団体などから提供されており、学習者はMOOCを通して講座を利用します。
MOOCで提供される講座の種類
MOOCで提供される講座は、高度な技術や専門的な知識を身につけることを目的としたもののほか、資格や学位の取得、または職業訓練的な内容や学校の教科、語学に関連するものなどさまざまです。
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オープンコースウェア(OCW)との違い
MOOCと同様に大学の講義を無料で聴講できる仕組みとしてオープンコースウェア(OCW)が挙げられますが、MOOCの場合は学位や修了証書を取得することができます。
また、MOOCでは他の学習者や運営側と情報を共有・議論することができるフォーラムなどの機能が提供されているため、オープンコースウェアと比較するとよりインタラクティブな学びが可能になります。
無料で受講できる
多くのMOOCでは、サービスの中心となる部分は無料、基本部分以外のプレミアムな要素については料金が発生するフリーミアム方式のビジネスモデルを採用しています。
そのため、サービスの中心である講義は無料で受講でき、修了証の発行や成績評価、単位や学位の取得といった学習部分以外の要素について料金が発生します。
学位が取得できる
MOOCでは、パートナーシップを結んでいる大学や企業、機関から多数の講座が提供されています。
そして、edXやCoursera、SWAYAM、FuturLearnといった大学とパートナーシップを結んでいるMOOCでは、大学の学位の取得をすることも可能です。
また、取得できる学位は、いわゆる大卒にあたる学士だけでなく、MBAなど大学院レベルの修士も含まれ、その中には世界的に評価が高い大学も含まれます。
マイクロクレデンシャル系の資格が取得できる
MOOCには学位そのもの以外にも、学位につながる「単位」が取得できるマイクロクレデンシャル系の講座も存在します。
マイクロディグリーやナノクロディグリー、マイクロバチェラー(マスター)などと呼ばれるマイクロクレデンシャル系の資格は、自分の興味のある分野に絞って学習を進めることができるため、学位を取得するコースと比較して短い学習期間で終えることができます。
日本の大学と比較するとイメージしづらいかもしれないのですが、特にヨーロッパやオーストラリアを中心とする欧米やマレーシア等の高等教育機関の場合、それまでに取得した単位や学修歴を換算して学位を取得、または他の大学に編入することは珍しいことではありません。
マイクロクレデンシャルは学位取得にあたっての単位として認められる場合があるため、学んだことを学位の取得に繋げたい社会人や、欧米大学の学位が欲しいけれども費用を少しでも抑えたいといった人にとっては選択肢の一つとなるでしょう。
MOOCの運営団体と言語について
MOOCの運営団体には、営利団体と非営利団体があります。
国などの非営利団体によって運営されている、いわゆるローカルMOOCではそれぞれの国で使われている言語による講座が提供される傾向にあります。
例を挙げると、米国発の世界的規模のMOOCの代表例であるedXやコーセラは営利団体で英語の講座が中心ですが、フランスの国営MOOCであるFUNはフランス語の講座が中心、ドイツの大学によるOPEN HPIはドイツ語で提供される講座が中心です。
ローカルMOOCはedXやCourseraといった大規模なMOOCと比較すると講座数も少なく、利用価値があまりないように感じるかもしれないのですが、ローカルMOOCならではの講座も提供されており大規模MOOCにはない魅力があります。
MOOCのタイプ
MOOCのはプラットフォームごとに方向性があります。
MOOCの代表例とも言えるedXやCourseraでは大学と結びつきが強い学術・専門的な講座が中心ですが、Kadenzeは芸術系、Alisonは職能系、Kahn academy は児童生徒対象というように、ニッチな分野を得意とするプラットフォームも存在します。
MOOCの一覧
以下は世界各国の主要なMOOCの一覧と特徴です。
英語による講座が中心のMOOCが多いですが、各国発のMOOCの場合それぞれの国の言語による講座が中心となっています。
MOOC一覧
*スクロールできます
名称 (国) |
特徴 | 主要言語 | 国 | コース数 |
---|---|---|---|---|
Coursera | スタンフォード大等の高度な講座が豊富 UC Berkeley等の学位取得可能 |
英語 | アメリカ | 7,000以上 |
edX | 260以上の教育機関や企業からの講座 UC Berkeleyやロンドン大学等の学位取得可能 |
英語 | アメリカ | 4,500以上 |
Swayam | インド政府によるMOOC 学位取得や大学の単位への互換も可能 |
英語 | インド | 11,000以上 |
NPTEL | インド系MOOC SWAYAMの講座のうち大学レベルのSTEM系講座のみを扱う |
英語 | インド | 3,000以上 |
FuturLearn | 英国系大学や企業の講座が豊富 学習スキルや大学進学準備コース多数 |
英語 | イギリス | 1,400以上 |
Alison | アルファベットレベルからの英語が学べる 職業や場面別英語講座なども豊富 スキル取得や語学系の講座中心 |
英語 | アイルランド | 4,000以上 |
Kadenze | アート・クリエイティブに特化 カルアーツやRISDの講座あり |
英語 | アメリカ | 100以上 |
Khan Academy | 幼稚園〜高校の児童生徒向け講座中心 SAT公式演習の利用可能 |
英語 | アメリカ | 8,000を超える 動画レッスン |
Open education | モスクワ州立大学などの主要大学によるMOOC 英語で学べるロシア語講座もあり |
ロシア語 | ロシア | 1,200以上 |
OpenClassrooms | ITやプログラミングを中心とした職業系MOOC ディプロマ取得講座もあり |
フランス語 英語 |
フランス | 600以上 |
FUN | 言語、法律、アート、コンピューター、起業など 幅広い分野の講座を提供している 基本的にフランス語で受講 |
フランス語 | フランス | 700以上 |
MIRIADAX | スペイン語圏の大学によるスペイン語のコースが中心 700万人を超える登録者を抱える |
スペイン語 | スペイン | 600以上 |
EduOpen | イタリアの大学や機関からの講座中心 大学の学位や単位が取得できる講座もあり |
イタリア語 | イタリア | 300以上 |
iMOOX | オーストリアの大学によるプラットフォーム ドイツ語の講座が中心 |
ドイツ語 | オーストリア | 161 |
iversity | ヨーロッパの大学や機関の講座が中心 学位単位互換コースあり |
ドイツ語 | ドイツ | 250以上 |
Open HPI | コンピューターサイエンスと情報分野の講座が中心 ドイツ語の講座が中心 |
ドイツ語 | ドイツ | 90以上 |
ThaiMOOC | Thailand Cyber Universityによって設立 タイの大学や機関による講座中心 |
タイ語 | タイ | 700以上 |
XuetangX | 中国の大学や機関による講座中心 学位認定コースあり |
中国語 | 中国 | 6,000 |
K-MOOC | 韓国政府系機関によるMOOC | 韓国語 | 韓国 | 4,000以上 |
JMOOC | gaccoやOpenlearningなど日本の MOOCプラットフォームのポータルサイト |
日本語 | 日本 | 610 |
それぞれのMOOCの特徴
Coursera
Courseraは2012年にスタンフォード大学の教授によって創立されたMOOCです。
275以上の大学や企業とのパートナシップを結んでおり、語学、マネジメント、ITなど幅広いコースを提供しています。
edX
edXは、2012年にマサチューセッツ工科大学とハーバード大学により創設された大規模MOOCで、世界260以上の教育機関や団体、企業などとのパートナーシップを結んでいます。
語学、コンピュータースキル、マネジメント、医薬と多様な講座を提供しています。
なるべくお金をかけずに海外大学の学位を得たい人にとっては選択肢の一つになるでしょう。
Swayam
Swayamは、インド政府によるMOOCですが、学習者の国籍や滞在地域に制限はなく誰でも無料で受講できます。
日本国内では知名度が低いSwayamですが講座数は10,000を超えており、世界的に見て最大規模のMOOCです。
動画講義はやや訛りの強い英語となりますが、ネイティブと比較すると言い回しが平易な印象です。
講座の内容は幅広く、オプションで学位やマイクロクレデンシャルの取得も可能となっています。
NPTEL
NPTELはSwayamの講座のうち大学レベルのSTEM系講座のみを提供しているインドの政府系MOOCです。
edXやCorseraと比較すると、数学等の基礎学問系の講座も充実している印象です。
すべての講座は無料で学ぶことができ、講座終了後に試験で基準を満たせば資格の取得も可能です。
なお、試験は試験会場に赴き受験する形で、日本を含む世界各国で受験可能となっています。
参考:International NPTEL Learners
FuturLearn
Futur Learnは2012年に設立されたイギリス系の大規模MOOCです。
設立当初はキングスカレッジロンドンやリーズ大学など英国の12の大学をパートナーとしていましたが、現在では260を超える世界中の大学や政府機関などと提携し、幅広い講座を無料で提供しています。
英国の通信制の公立大学であるOpen Universityとも連携しているほか、エジンバラ大学やエクセター大学などの学位取得も可能です。
また、ファウンデーションコースが設けられているイギリスのMOOCらしく、学習スキルを学ぶコースも豊富に提供されています。
Alison
Alisonはイギリスの職業系のMOOCで、4,000以上にのぼる講座を提供しています。
edXやCourseraなどの大学との結びつきが強いMOOCと比較すると、スキルトレーニング系の講座が中心ということで難易度がやや低めです。
また、語学系講座は特に充実しており、アルファベットからビジネスまで幅広いレベルに対応しています。
英語での面接、プレゼンテーション、レセプション、コールセンターといった実際に仕事をする上で必要になる英語を学講座も提供されています。
英語学習を目的としてMOOC使いたい人に特におすすめです。
Kadenze
Kadenzeはアートやクリエイティブ系に特化したMOOCですが、職業訓練的な内容ではなく、学術的な内容の講座が中心です。
カルアーツやRISDからの講座も提供されており、グラフィック系だけでなく日本ではあまり学ぶ機会のない映画やゲームなどの「音」に関する講座も豊富です。
アート系ということでUIも洗練されており、他のMOOCとは趣が異なる学びが可能です。
Khan Academy
Kahn Academyは幼稚園〜高校の児童生徒を対象とした講座が中心です。
SATのオフィシャル演習問題やAP講座が提供されているほか、米国の大学の出願方法などについての講座もあります。
特に若年層の英語教育や留学準備におすすめです。
Open education
Open Educationはモスクワ州立大学など、ロシアの主要大学によるMOOCです。
すべてのコースは連邦州の教育基準の要件に従って開発されており、大学の教育プログラムの要件を満たしており、試験に合格すると証明書が発行されます。
ロシア語の講座が中心ですが英語で学べる講座も提供されており、その中には、日本にいるとあまり耳にすることのないロシアの公共政策なども含まれます。
また、ロシア語の講座も豊富で、ローカルMOOCでありながら国外の学習者も意識したプラットフォームとなっています。
OpenClassrooms
OpenClassroomsはフランスの職業系MOOCです。
MOOC講座は600以上にのぼり、世界中で 250万人以上に利用されています。
職業系のMOOCとしてはイギリスのAlisonが挙げられますが、OpenClassroomsはコンピュータープログラミングなどのIT系分野の講座が充実しています。
講座で使われる言語は、英語やスペイン語なども含まれますがフランス語が中心になります。
FUN
FUNは2013年にフランスの高等教育・研究省によりフランスの大学などの教育機関のコースををインターネット上でアクセスできるようにすることを目的として設立されました。
プラットフォームはedX用に開発されたOpen edXを利用しておりフォーラムやアセスメントといったインタラクティブな学習が実現されています。
基本的にフランス語の講座が中心で、英語で受講できる講座は全体の15%程度です。
言語、法律、アート、コンピューター、企業など幅広い分野の講座を提供しており、フランス語で学びたい人におすすめです。
MIRIADAX
MIRIADAXは、スペイン語の講座が中心のMOOCです。
スペイン、コロンビア、アルゼンチン、ペルー、メキシコなどのスペイン語圏の大学とのパートナシップを結んでおり、登録者は700万人を超えています。
バイオやプログラミングやAIといったテクノロジー関連のほか、ラテンアメリカの税務管理など日本ではなかなか接することができない内容も学べます。
EduOpen
eduOpenはイタリアの教育、大学、研究省から資金提供を受けているMOOCです。
300以上の講座が提供されており、6,000 万人以上が利用しています。
単位や学位、修了証などを取得することも可能で、パスウェイにより修士コース、進学コース、職業訓練コース、学位コースなどの複雑な学習経路を選択することも可能です。
英語の講座も存在しますが少数で、あくまでもイタリア語の講座が中心となります。
iMOOX
iMOOXはオーストリアの大学や機関がパートナーとして講座を提供しているMOOCで、90,000人を超える学生が利用しています。
160以上の大学レベルの講座が提供されており、その中にはウィーン工科大学やグラーツ工科大学などの講座も含まれます。
英語の講座も提供されていますが、ドイツ語の講座が中心になります。
iversity
iversityはベルリンを拠点とするMOOCです。
ヨーロッパ全土の幅広い主要な学術機関、NGO、企業などとパートナーシップを結んでおり、100万人近い登録者を擁します。
英語で受講できる講座もありますが、ドイツ語で行われる講座が中心になります。
OPEN HPI
OPEN HPIはドイツのMOOCで、大学生や生徒、生涯学習者、専門家など幅広い学習者を対象としています。
コンピューターサイエンスとIT分野の講座が中心で、AI、サイバーセキュリティ、インターネット テクノロジ、プログラミングなどさまざまな講座が提供されています。
アセスメントや成績評価、修了証書などを得ることも可能です。
英語で受講できる講座もありますが、基本的にドイツ語で受講します。
Thai MOOC
Thai MOOCはタイの高等教育科学研究革新省直轄の「Thailand Cyber University」によって設立されたMOOCです。
タイの大学や研究機関、公的機関などさまざまなパートナーから講座が提供されており、タイの法律など他では学べないような講座も提供されています。
基本的にタイ語での受講になります。
XuetangX
XuetangXは中国のMOOCプラットフォームです。
清華大学や北京大学、中国科学技術大学といった中国国内の大学だけでなくマサチューセッツ工科大学などの大学からの講座も提供されています。
基本的に中国語で受講しますが、英語やフランス語、日本語などのインターフェースも利用可能です。
認定資格や学位プログラムを選択することも可能です。
K-MOOC
ソウル大、KAISTなど複数の機関や大学の協力によるMOOCです。
4,000以上の講座が提供されており、使用言語は韓国語が中心です。
JMOOC
gacco、Open Learning Japan、放送大学などのMOOC講座配信プラットフォームのポータルサイトで、JMOOC公認の講座が提供されています。
日本語の講座を中心に600程度のコースから選択することが可能です。
なお日本語で学びたい人は、無料で翻訳されたMITなどの講座をAsuka Academyでも視聴することができます。こちらはMOOCではないのですが興味がある方はご利用ください。
おすすめの選び方
MOOCsは「無料で様々な講座が学べる」という点は共通しているのですが、ここまでに解説したようにそれぞれ個性や強い分野があります。
そのため、MOOC選ぶ際には目的に合わせたプラットフォームを選択することが大切です。
学位やマイクロクレデンシャルを取得したいのか、修了証が欲しいのか、学べれば良いのか、あるいはスキルを身につけたいのか、語学学習に役立てたいのかといった点を明確にしてMOOCを選ぶとベストな講座を見つけることができるでしょう。
なお、以下は目的別の主なおすすめMOOCになるので、MOOC選びの参考にしてください。
【語学学習】 Alison、各言語を利用するローカルMOOC
【職業系スキル取得】 Alison、OpenClassrooms
【大学の学位・高度な内容】 edX, Coursera, FuturLearn, Swayamなど
【STEM系】 NEPTEL、OPEN HPIなど
まとめ
この記事で紹介したMOOCのうち、英語で学べる講座だけに限ってもその数は3万講座以上にのぼります。
そして、その内容も芸術系やスキル取得から学術的なものまでとても幅広いです。
MOOCは講座の内容そのものを学ぶといった利用方法以外にも、学位の取得を目的とした受講や、語学学習などさまざまな用途で活用できます。
いずれにしても、MOOCの講座を利用するにあたっては一定の英語力が求められるので、英語スキルが不足している場合は英語学習も並行して行うと良いでしょう。
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ライティングの添削をしてほしい
・個別の添削指導が格安
・日記から論文まで幅広い文章に対応
・ビギナーからエキスパートレベルまで指導可能
・1回166円からの格安個別英文添削だが、質は高い
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ぜひこの記事を、自分にぴったりのMOOCと講座を見つけるためにお役立てください。